自然に身をまかせる・・・


代表:

そのあたりが、私達の考え方と同じですね。よく運命学は統計学だという人がいますが、私は運命学とは自然学だと思っています。自然の法則というものに従って、生きていく行動学。だから人生を航海に例える事が多いんですね。命運、つまり生まれ持った資質というのは、その人をのせて人生を進む船のようなもので、運勢とはその時の海の様子。波が高い時も穏やかな時もある。波が高くて危ない、つまり運の乱れた時には無理に進まないといったことです。

栗原:

なるほど。その例えは良くわかりますね。

代表:

実際に、嵐の時というのは海の上でどうするんですか?

栗原: 基本的には自然にまかせます。ただ、天気図や情報で嵐が来るのは予想できますから、ある程度覚悟して準備もできます。これ以上できない・・・・となれば、運を天に任せるしかありません。とにかく慌ててパニックになるのが一番危険なんですよ。

代表:

運命学でも、覚悟して準備するために、いつから運が乱れるのかを先んじて知る必要があると考えます。慌ててすることはロクなことがないですし、冷静な判断ができません。でも、大抵の人は、慌てると何とかしたいと動いてしまうんですね。

栗原: 船の上でそうなると、命にかかわりますからね。

代表:

そうですね。私達もアドバイスする時には、とにかく落ち着け・・・と。動揺してガタガタすると凶を呼び寄せることになると言うんです。戦場でも恐怖でビクビクしていると、その人もその人のそばにいる人も敵の弾にあたってしまうが、来るなら来いという気持ちでいると弾にもあたらない・・・と言った方がいます。 つまり、危険な時こそ覚悟を決めて平常心を持つことが大事だということだと思います。

栗原:

僕は、何か大きなことが起こると、何故だかどんどん落ち着いちゃうんですよね(笑)

司会:

さすがですね。でも、死にそうになったことはないんですか?

栗原:

んーーーどうかなぁ。

司会:

実は、栗原さんの命式を拝見すると、大怪我したり大事故にあっていても不思議じゃないものですから・・・。

栗原:

え?そうなの??

代表:

そうですね。でも、最近も船で怪我されてませんでしたっけ??

栗原:

そうそう、ちょっと場所がずれてれば頭蓋骨陥没してた・・・。

代表:

ずれてなくても、十分に大怪我だったかと・・・(笑) 子供の頃などはいかがでした?病気は?



栗原:

子供の頃ね・・・・。あ、プールに通ってて病気になったなぁ。その後も鉄棒やってて落ちて・・・。あれも結構な怪我だったかな。確かに、色々怪我してるね(笑)

司会:

十分に怪我体質ですね。それでよくマゼラン海峡を通って、世界一周だ!なんて思われましたね(笑) そもそもヨットはどうしてお始めになったんですか?

栗原:

船はもともと好きだったから商船大学に入ったというのはあるけれど、ヨットは、ズバリ女の子にもてそうだから(笑)

代表:

やはり、動機はそういうものなんですね(笑)

栗原:

でも、実際はまったくそんなことなくて。練習は大変だし、男ばっかりだし、まるで予想外だった。

代表:

それでも、世界一周という大きな夢ができる訳ですよね。

栗原:

環境的に、いろいろな航海記だったり映画だったりを見る機会が多くて、そのうちにマゼランが海を渡りながら地球が丸い!と発見することに感動して、十六世紀にマゼランが体験した事を、自分も体験したいと思うようになったんですね。それにやっぱりヨットマンにとっては、マゼラン海峡というのは、聖地というか、一度は挑戦したいと夢見るところなんですよ。

代表:

普段の栗原さんを見てると、失礼ながら世界一周の話も現実感がないんですが、船の上だとやっぱりカッコいいというか、顔つきが違いますからね。ヨットマン憧れの地を制してるというのはスゴイことなんだろうと思います。航海記に石原慎太郎氏が寄せた文の中に、“完璧な冒険”とあったほどですから・・。

この計画を立てた時というのは、出発時期だとか場所だとかはどうやって決めたのですか?

栗原:

一番の難所はマゼラン海峡なので、そこを通過する時にできるだけ天候が安定している時期を考えて、そこから逆算してます。マゼラン海峡って暴風雨の確率が高いんですが、少しでも天候が良い季節に通過できるようにしたかったですからね。 土田   結果を考えて、そのためにいつがいいか・・・・という事ですね。運命学は原因と結果の学問なので、興味があったのですが、よい結果になることをイメージするというのは大事な事だと思います。実際にスタートした日が翌日だったらスタートには相応しくない日なんです。

代表:

ほぼ計画通りに進んだのでしょうか?

栗原:

まぁ、そうですね。もちろん、いろいろアクシデントはありましたけど。

司会:

航海記を読ませていただいたのですが、皆さん実におおらかで、それでいて勇敢で・・・。もちろん命がけの旅という緊迫感はあるのだと思いますが、こんな経験をされているのはうらやましい限りです。

代表:

今も、変わらずヨットには乗られている訳ですが、ヨットの魅力・・・海の魅力なのかもしれませんが、それはどういうところなんでしょうか?

栗原:

やはり自然の中に身をおけるところだと思いますね。自然の偉大さを肌で感じる事ができます。 長い間に自然が壊されている事も感じるし、人の傲慢さというのも感じます。ヨットというのはまさしく風まかせ、波まかせ。自然にお任せするしかないという状況に身をおくというのは、現代人にとっては必要なことなんじゃないかと思うんですね。まぁ、単純に、海にいると楽しいんですけど(笑)

代表:

また、ヨットでご一緒させていただいて、艇長のイキイキしているところを拝見したいと思います。

司会:

できれば、風のあまりない日に・・・って、それじゃヨットが楽しくないですね(笑) また近々レースにもお出になるというお話ですが、くれぐれもお怪我のないように。 今日はありがとうございました。普段あまりおうかがいできないお話をうかがうことができて、感謝しております。



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海洋冒険家
栗原 景太郎
[クリハラ ケイタロウ]
・昭和17年 東京生まれ。神戸商船大学航海学科卒業後、川崎汽船株式会社に入社。
・外国航路の航海士を勤めたのち、ヨット世界一周の準備の為に退社。
・昭和44年5月5日、江ノ島を出航し、昭和45年8月、日本人初小型ヨット白鴎号(25フィート)による世界周航達成。
・ヨットスクール校長、ハーバー開発などの仕事を歴任後、現在は、環境問題などに関わるボランティア活動に従事。
・社団法人 虹の会 参与 (株)ヒューマンエコ 取締役
著書
・白鴎号航海記
・フェニックス60の会編 還暦の風景 など
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